10月16日(水)、ウーバー・テクノロジーズ(Uber Technologies)が、オンライン旅行大手エクスペディア・グループ(expedoa group)の買収検討の報道を受け、エクスペディアの株価が時間外取引で7%以上の急騰となった。フィナンシャル・タイムズ(FT)によれば、まだ初期段階であり、ウーバー側からすでにこの取引に関して接触を試みているが、正式な交渉は行われていないとのこと。
もし実現すれば、この動きはウーバーにとっての大きな戦略的転換点となり、ライドシェアリングやフードデリバリーを超えたビジネス拡大となる。多様なサービスを提供する「スーパーアプリ」への進化に向けた重要な一歩となる可能性がある。エクスペディアの時価総額は約200億ドル(約3兆円:1ドル150円で計算)となり、この買収はウーバーにとって過去最大の取引となる見込み。
エクスペディアは、Hotels.com、Vrbo、Orbitzといった主要な旅行ブランドを所有し、2023年第2四半期には総予約額288億ドル(約4兆3200億円)、収益36億ドル(約5400億円)を報告している。Booking.com、Airbnb、Googleといった競合企業の圧力に直面しているものの、エクスペディアは旅行業界において依然として重要なプレイヤーとなっている。
ウーバーのエクスペディアへの興味は、両社の歴史的な繋がりを考えれば当然の結果となる。ウーバーのCEOであるダラ・コスロシャヒ氏は、2005年から2017年までの間エクスペディアのCEOを務めており、現在も同社の取締役会に名を連ねている。もし買収が進展すれば、コスロシャヒ氏のエクスペディアに対する知識が、統合プロセスをスムーズに進める助けとなる見込み。
このニュースを受け、ウーバーの株価は2.9%下落したが、過去1年間で80%以上の上昇を見せており、ライドシェアの需要回復やUber Eats部門の成長に支えられている。エクスペディアとの取引が進展すれば、ウーバーのグローバルな拡大戦略において重要なステップとなる。
現時点では、ウーバーもエクスペディアもこの報道についてコメントをしておらず、この変革的な取引が実現するかどうかについては業界関係者の間で注目を集めている。