近年、大手テック企業による生成AIの競争が加速している。Dice社の調査によれば、調査テクノロジー専門家の多くが「生成AIが自分たちの仕事にわずかな影響しか与えていない」と感じているが、同時に「AIに対する認識は世代間でギャップが広がりつつある」と示している。また、職場で世代間の断絶がある場合は、そのギャップが生成AIの導入を妨げる可能性があるとしている。
この調査は、2023年第2四半期の「Q2 Technology Professionals Sentiment report」で、6月に520人の米国のテクノロジー専門家を対象に行ったもの。その結果、18歳から34歳のテック系労働者のうち、5人に2人は週に少なくとも1回は仕事で生成AIを使用していると答えている。一方、55歳以上のテック・プロフェッショナルのほぼ半数は、生成AIを全く使用していないと回答している。
そして、調査対象者の半数以上が、「AIの使用が仕事に与えた影響はわずかだった」と述べ、これは「生成AIは初期の期待とは裏腹に、未だ大きな変革をもたらしていない」ことを示唆している。また、世代ごとにテックの活用方法に差があると、採用が進みにくくなる可能性が浮上するが、特に生成AIの場合、この技術が業務プロセスや役割全体を変革する可能性があり、そのリスクはさらに高まる。
また、他のレポートによると、年代の若い技術者はChatGPTのような生成AIツールをいち早く活用し、30歳未満の労働者は、年上の同僚よりも業務で生成AIツールを使用する傾向が強いことが示されている。また、34歳以下のIT管理者は、45歳以上の労働者よりも自分たちのキャリア展望に懸念を抱いているという結果が出ている。
生成AIの採用計画が進むにつれ、この技術の使用の有無が「人材の獲得および維持戦略」に影響を与えると雇用主は考える。加えて、HR専門家の5人に4人以上が、今後6か月間でAI専門家の需要が高まると予想している。
その一方で、雇用主による「AIに関するスキルアップ計画」にも課題が待ち受けており、多くの所では、既存の従業員のAI能力レベルについて明確な把握ができておらず、効率的なスキルアップ戦略を立てることが難しいという結果が出ている。
そのため、AIの導入や使用だけでなく、それが上手く活用できる環境を準備する事が重要で、雇用主はこういった部分も踏まえ、採用計画を考える必要がある。
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