ペプチドリームの関連会社であるペプチエイド株式会社(川崎市)は、2024年10月9日、新型コロナウイルス感染症治療薬候補「PA-001」の臨床第1相(P1)試験を米国で開始したと発表した。
この薬は、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質S2サブユニットを標的とした環状ペプチド阻害薬で、非常にユニークな作用機序を持っているとされている。日本での特定臨床研究では、30名の健康な成人男性に対して良好な安全性と薬物動態が確認されており、今回のP1試験は2025年下期に結果が得られる予定。
このペプチエイド社は、2020年11月にペプチドリーム、富士通、みずほキャピタル、竹中工務店、キシダ化学の5社が共同で設立した企業で、新型コロナ治療薬の開発を目的としている。
また、2024年7月には、PA-001の臨床試験開始に向けたIND(新薬臨床試験開始届)の申請が米国FDAに承認され、このPA-001は、コロナウイルスが細胞に侵入する際に利用するスパイクタンパク質S2サブユニットを阻害することで、感染を抑制する働きを持っているとされている。現時点で、S2サブユニットを標的とした治療薬は市場に存在せず、他の治療薬と併用することで相加効果が期待されている。
さらに、PA-001はペプチドリームの初期探索研究と国立感染症研究所との共同研究によって発見されたものであり、野生株だけでなく、現在確認されているすべての変異株に対しても有効な抗ウイルス活性を持つことが確認されている。
ペプチエイドは、AMED(日本医療研究開発機構)の補助金を受け、PA-001の臨床試験を加速させており、今後の研究結果が期待されている。